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は、江戸時代に1万石以上の領土を保有する封建領主である大名が支配した領域と、その支配機構を指す語である。藩の内側は将軍江戸幕府の権威・権力の枠の内側で一定の自立した政治経済社会のまとまりを持ち、小さな国家のように機能した。藩に対して、幕府の直轄領のことを「天領」といい、藩の領主である大名のことを「藩主」、大名の家臣のことを「藩士」と言う。

藩は、守護大名が荘園を解体し、各農村に住む武士化した地主層(地侍)を下級武士として被官化し、一円的領域支配を築いていったことに始まる。室町時代以前の武士の所領支配とは異なった新しい支配の形態である。戦国大名は領域の一円支配をさらに推し進める一方、家臣である配下の武士城下町に集めて強い統制下に置く傾向が始まる。織田信長は取り立てた武士の領土を勢力進展とともに次々に動かし、豊臣秀吉徳川家康ら服属した戦国大名を彼らの地盤である領国から鉢植え式に新領土に移封させたので、安土桃山時代に武士と農民を職業的・身分的に分離が進み、関ヶ原の戦いと江戸時代初期の大大名の盛んな加増・移封によって完成された。

藩士である武士を城下町に集めて軍人・官吏とし、彼らの支配のもとで城下町周辺の一円支配領域にある農村に住む農民から年貢を現物徴収して、藩と藩主の財源や藩士の給与として分配する形態が藩の典型であるが、徳川氏によって新規に取り立てられた小藩の中には支配する農村が散らばっていて一円的な支配が難しいものもあった。

「藩」の語は、古代中国で天子であるの王によってあるに封建された諸侯の支配領域を指し、江戸時代の儒学者がこれになぞらえて、徳川将軍家に服属し将軍によって領地を与えられた(と観念された)大名を「諸侯」、その領国を「藩」と呼んだことに由来する。江戸時代には「藩」の語は儒学文献上の別称であって、公式の制度上は藩と称されたことは無く、「何某家中」のような呼称が行われていた。

1868年明治新政府が旧幕府領(天領)を府・県に編成した際に、「藩」は大名領の公称として採用され、藩主の居所(城持ち大名の場合は居城)の所在地の地名をもって「何某藩」という名前が正式の行政区分名となった(府県藩三治制)。翌1869年までに版籍奉還が行われて藩主は知藩事に改められ、1871年廃藩置県により全ての藩が県に置き換えられ、完全に廃止された。

現在の県は廃藩置県時の諸県を統廃合して生まれたものだが、国主の格式を持っていた大藩の場合はかつての藩の領域と現在の県の領域がほぼ一致する場合もある。

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