実定法学と基礎法学
法学の分類として最も一般的なのは、実際の問題への適用を前提として実定法の意味を認識体系化する実定法学と、法に関する基礎的研究を行う基礎法学への分類である。実定法とは、現に存在する法のことであり、その国家制定法や慣習法などが法源となる。基礎法学は、この実定法学を補う学問であると位置づけることができる。法哲学は、実定法が正義にかなったものであるかをチェックする役割を果たし、法史学や比較法学は、時間的・空間的比較の中に対象となる実定法(わが国では日本法)を位置づけることにより、実定法の認識を豊かなものにする。わが国の研究においては、基礎法学(特に比較法学と法史学)による知見を基に一定の解釈を展開するというスタイルが支配的である。
実定法学の対象は、大きく公法と私法に分かれる。これらの対象に応じて、公法学・私法学と呼ぶ。憲法学(国法学)、行政法学、租税法学などは公法学に属し、民法学、商法学などは私法学の個別分野である。しかし、この分類は理論的に意味のあるものであるが、あまり便宜的ではないので、公法学、民事法学、刑事法学、基礎法学のように四分することもある(民事訴訟法と刑事訴訟法は、民事法学と刑事法学に分かれる)。ここでは、国際法を公法とは別扱いにし、五つのカテゴリーに分けることにしよう。
- 実定法学(法理論・法解釈・法体系)-法学方法論
- 公法:
- 憲法(国法学):憲法総論、憲法史・国制史、統治機構、基本的人権、憲法訴訟法。
- 行政法:行政法総論、行政訴訟法、国家補償法(国家賠償法・公用収用法)、警察法、教育法、環境法、放送法。
- 租税法
- 財政法
- 社会保障法
- 国際法:海洋法、空法、宇宙法、国際責任法。
- 国際組織法
- 国際人権法
- 国際経済法
- 国際環境法
- 国際人道法(戦争法)
- 民事法
- 刑事法
- 基礎法学
- 法哲学
- 法史学(法制史・国制史)
- 比較法学
- 大陸法
- ドイツ法:ドイツ法史、ドイツ憲法、ドイツ行政法、ドイツ民法、ドイツ商法、ドイツ民事訴訟法、ドイツ刑法、ドイツ刑事訴訟法。
- フランス法:フランス法史、フランス憲法、フランス行政法、フランス民法、フランス商法、フランス民事訴訟法、フランス刑法、フランス刑事訴訟法。
- イタリア法
- オランダ法:オランダ民法
- ベルギー法
- スイス法:スイス民法
- オーストリア法:オーストリア民法
- スペイン法
- イベロ・アメリカ法
- スコットランド法
- 日本法:比較法学に分類するのは適当でないが、日本法は大陸法系である。
- 韓国法
- 台湾法
- 英米法
- イングランド法
- アメリカ法:アメリカ法史、アメリカ憲法、アメリカ行政法。
- イスラム法
- 社会主義法
- 法社会学
- 法と経済学
- 法医学